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2026年 混迷を深める世界の行方

更新日:2026年9月18日

世界の大国を取り巻く潮流

ロシアのウクライナ侵略とアメリカとイスラエルによる一方的なイラン攻撃により、世界の情勢は歴史的な転換点・激動期を迎え、一部の知識人が世界大戦を危惧するような国際情勢の先行きに対する不安と混迷する状況が深まっている。

米国によるベネズエラ攻撃に次ぐ、イランの軍事施設・石油関連施設・核施設に対する半年に及ぶ数次の攻撃は世界に衝撃を与えた。国連の安保理などの紛争抑止力は無きに等しく、石油・天然ガスなどのエネルギー資源の世界の20%を産出する中東において、米国をめぐる利害関係が中東諸国とその周辺国の民族・宗教問題と複雑に絡み、世界貿易の重要拠点であるホルムズ海峡を挟んだ攻撃と報復の繰り返しとなっている。石油備蓄を放出し凌いでいる世界経済は、時が過ぎれば一定の解決策を見出せるという楽観シナリオが崩壊しつつあり、元に戻る可能性は低く、原油高騰は長く世界経済の重しになるのだろう。

石油エネルギー資源貿易と軍備装備品貿易で中国とロシアは接近し人民元で決済し、中国はAI開発,半導体製造、自動車輸出、インフラ輸出等を世界規模で増大させておいる。中国からヨーロッパに及ぶユーラシア大陸を結ぶコンテナ鉄道網はスペインにまで及び、BYDは南米や欧州に自動車輸出を急速に伸ばしている。周辺の国々はその価格面の安さ中国製品の浸透を防ぐことは難しい。まさに一帯一路政策の実現とも言えるような状況であるが、しかし国内事情は巨大不動産バブルの崩壊の後遺症で、国内需要は低迷し、少子化高齢化・出生数の減少により4年連続で人口は減少し、人口減少による個人消費は縮小を余儀なくされ、経済成長率は鈍化傾向にある。

世界的なインフレ

各種資源・物資・食料の流通量は不安定化し、ロシアによる黒海の封鎖によりウクライナの小麦輸出は激減し、前年同期対比36%減の5500万トンになると8月26日発表の農水省の「食料・農業・農村白書」は告げており、食料安全保障上のリスク増大していると報じている。その供給制約は輸入インフレを引き起こし、世界規模で広がり、例外なく米国にも日本にも深くインフレの波を及ぼしている。

一般庶民の生活を脅かすガソリン・ガス料金の高騰のみに留まらず、あらゆる関連する化学製品の連鎖的高騰を引き起こし、経済のインフレ化は金利上昇の引き金となり、資金は金や株式に向かい、世界的な株高傾向をもたらし、急激な資金の流動化は安定的な世界の経済成長を阻害し、長期の成長の見通しが立たない。世界的な規模で、AI、半導体、データセンター、原発・電源開発に対する投資は異常なまでの投資意欲の高まりをみせている一方で、そのAI開発・データセンターの巨額投資にまい進するハイパースケーラー、米国のマグニフィセント7、ソフトバンクグループなどは、将来の巨額収益機会を見込み、その投資にほとんどのキャッシュフローを注ぎ込み、更に莫大な社債を発行し資金調達を目論んでおり、壮絶な巨大企業同士の投資競争を呼び起こしている。しかし、一方で冷静な外部観察者は用地取得、電源・送電網の確保、地元地域住民の反対運動も起こっており、かなりの部分が現実には実行不可能と予測している。既に過剰な成長期待神話に基づく株価値上がり期待は一部が既に剥がれつつあり、その先行きに対する期待と不安は世界の株式市場のジェットコースターのような乱高下を繰り返す最大の要因となっている。

日米の財政赤字と日本の米国投資と国内投資計画

2026年に米国の政府債務は40兆ドル(6400兆円)を超えると予想されており、その巨額赤字を減らすべく、同盟国にもトランプ関税は発動され(その後、大統領権限を逸脱する大統領令としてその措置の大半は取り消されたが)日本は対米80兆円の巨額投資を約束した。日本製鉄のUSスティールに対する巨額買収142億ドル(約2兆円)によって陳腐化した設備の廃棄、将来にわたる従業員の雇用の約束、最新の製鉄技術の導入した新設工場の立ち上げなどを内容とする救済合併と新規投資が、約束した投資第1弾となった。しかし最後の決定件を握る黄金株は米国が握る。
日本の国内向け投資は、「骨太の方針による、官民挙げての17分野に総額370兆円の投資計画決定」は安倍政権時代のアベノミクスをはるかに凌ぐ規模で実施されようとしている。

財政政策の困難さ

失われた30年を取り戻し、少子高齢化の進む、元気のない日本経済に、産業のAI導入とDXにより、飛躍的な生産性の向上をもたらし、若者が未来に希望を託せる希望のある社会に変革しようとする壮大な構想である。しかし、そこには避けて通れない大きなリスクが待ち構えている。大企業の2026年上半期の業績は7割以上が売上と利益を伸ばしており、法人税・消費税の伸びはそれぞれ21.4%、4.0%と過去最高を9年連続で更新している一方で、食品の消費税減税、軍事費・防衛関連予算の伸びも大きく、プライマリーバランスは数年単位で改善すればよいこととし、国債の絶対額でなく、GDPに対する国債残高の比率を下げていくというように方針転換した。

安倍政権時代はデフレマインドからの脱却がテーマであり、期待インフレ率の向上が政策課題であったが、その状況は一変し、急激な食品・ガソリン価格の上昇を体験した庶民生活感覚での来年のインフレ予想は5~10%というところではないだろうか。課題はインフレ抑制である。いくら政府が数字合わせを言っても、巨額の投資財源は赤字国債となるだろうというのが、庶民の大方の予想である。インフレによる経済圧迫か、成長による財政収支の均衡を図るのか、どちらが先に現実となってあらわれるのだろうか。まさに370兆円の壮大な投資計画はオールインの大きな賭けと言わざるを得ないだろう。インフレは借金を持つ者に有利に働き、国の債務はインフレ分だけ自動的に目減りして、そのしわ寄せは低金利で預ける預金者に行くことは明白だ。財政政策を総動員することとなる、今回のとてつもない規模の投資計画と食料品の消費税減税は、赤字国債を増やさず、金利上昇と円安を抑えることは到底困難なことはすべての識者の共通の認識となっている。

更に日本国債を国民に購入させるための準備も進められている。最近の長期金利の上昇を受けて、国債購入を検討する投資家も多いが、金利上昇の打ち止めとなる政策が実施できるかどうかに懸かっている。そのためにはこれ以上財政は悪化しないという安心感が必要だが、新ニーサに組み込む、相続税対象からの除外資産とする、日銀の国債残高減少を食い止め、さらに持ってもらう様々な案が検討されている。実現可能性は未定だ。

富の一極集中と国民中低所得層の窮乏化

半導体・防衛分野等一部の分野への集中的な資金・資源の投資は、実態経済全体にどれだけの相乗効果をもたらすのかより、逆に制約要因となるのではという疑念が現実のものとなりつつある。既にこの半年間で日経平均株価は1万4000円以上上昇し、土地価格の3年連続上昇、東京のマンション価格の極端な上昇は一部の起業家に更なる富の集中をもたらしているが、その集中化は速度を増し、歴史はその富は公平に分配されることは無く、持つ者と持たざる者の格差の固定化と拡大をもたらすことを警告している。

政治の目標は国民の実質可処分所得が増加させるというのが最大の目的である。進行するインフレは住宅関連費用支出を増加させ、子育て費用・教育費・食費を増加させ、一般大衆の生活を直撃し、給与所得増加を実感できないのが現実である。厚生労働省の国民生活基礎調査によれば、生活が苦しいと思う世帯の比率は全体で55.4%に達し、母子世帯は82.1%、高齢者世帯で52.1%に及ぶ。相対的貧困率は15.0%となっており、OECD加盟国の中でも高い水準となっており、2025年のエンゲル係数は28.6%と44年振りの高水準となっている。

世界経済を動かす金利

金利は何を物語るのか?

金利は経済の体温と言われるが、その体温をみて世界の金融マネーが動き、株価は乱高下し、世界の機関投資家・投資家集団・投資ファンドが動きだし、企業の設備投資マネーが動く。その動きは企業の投資計画、国家の財政政策、個人消費性向、住宅取得展望、人生設計にまであらゆる分野に影響を及ぼす。

言ってみれば、人間の様々に揺れ動く思惑と無秩序な行動、培った知性と突き動かされる感情との葛藤、個人と家族、社会、国家の利害得失を調和させようとする社会的な動きとその根拠となる立法秩序との狭間で、経済変動を呼び起こす最大の変動要因となっている金利・金利水準は、社会の現在の実相を表す指数でもあるとともに、年金資産の運用の巧拙が個人の社会生活に大きな影響を与えるように、企業活動の行動を促し、時には縛り、国家の経済財政運営を判断する上での大きな制約要因となっている。金融の世界で金利の発明が一方で世界を豊かにしたが、それによって今度は社会生活を営む人間が踊らされ、縛られるようになった。しっぽが犬を振り回すともいえるような状況だ。

米国金利と日本の金利差によるキャリートレードは特に有名である。日本円で調達したお金で米国債を購入すると金利差分だけ利ザヤが稼げる。そこにレバレッジ効果で何倍にもする手法だ。そこに為替レートが介在し、為替変動はもうけを大きく左右する。時には元本も毀損する。一国の金利政策は企業活動の今後の動向に大きく作用する。特に投資判断の基準に大きく影響を与える。

このような困難で厳しい経済状況の中で、一個人としてどう考え、どのような金銭哲学と生活信条を持ち、実生活に対処すればよいのだろうか。

拙速で過剰な判断と行動を避け、自身の経験を基にした判断を尊重し、淡々と慎重に行動する

毎日のように報道される世界の政治経済ニュースから距離を置き、政治経済コメンテーターのもっともらしい判断に捕らわれることなく、雑多な経済金融情報から一定の距離を置く生活を送り、普段から物事の拙速な反応を避け、古典的名著と言われる書物から長い時間、振るいに掛けられ、生き残った、生活信条・哲学に基づく慎重な判断と行動を心掛ける。物事にいちいち過敏に反応し疲れるだけの拙速な判断を見送り、自分の生活のペースを守り、自分と家族を守り抜くための生命エネルギーを温存する。人類の歩んできた悠久の歴史から学び、そこから得られる教訓と自ら培った価値観と行動指針を拠り所にして、それを頑固に守り通すそんな生活が送れればと思うが、現実生活は、なかなかそうは行かない。日暮れ道遠しである。「凡眼には見えず。心眼を開け。好機は常に眼前に有り。」という言葉を信じたい。

できることならば、はるか昔の故人の努力から得られた英知に触れて、現在の我々の置かれた環境は多くの先人の苦労と絶え間ない努力の結果であると感謝し、与えられた幾ばくかの選択の自由があり、自分の努力と行動次第で、様々な可能性にもチャレンジできることを感謝しながら、時に遠くの青い山並みを見ながら、多くの星で満たされた星空を見上げながら、ゆっくりと歩いていきたいものだ。

代表紹介

大村秋男
静岡大学卒。地域金融機関で長年営業畑、本部業務等を経験し、RCCにて債権管理回収・事業再生業務、不動産会社にて不動産業務全般を経験。
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認 不動産コンサルティングマスター
今まで様々な不動産及び経営相談業務等に携わり、その経験を生かし不動産コンサルタントとして独立
2018年9月会社設立、代表に就任し現在に至る

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