2023年、不動産をめぐる動き
アメリカ・中国の不動産
アメリカにおいては、過去の金利の変動が激しく、固定金利住宅ローンの選択が全体の7割を占めるという。住宅ローン金利の急激な上昇は、中古住宅の売却を見送らせ、新たに高金利の住宅ローンを組むことを躊躇させる要因として働いており、中古住宅市場の在庫が減少し、価格自体は維持されている。FRBは都市部の商業用不動産の市場動向について懸念を表明している。都市部中心街のオフィス需要が引き続き弱いという。
中国では、恒大不動産グループおよび碧桂園の市場に対する不安がクローズアップされ、不動産バブルが弾け、不動産投資は逆回転を始めている。中国経済のGDPの3割を占めるともいわれる不動産投資に大きく依存してきた中国経済は、不動産価格の極端な低下は不動産のマイナス資産効果となって現れ、今後長く中国経済全体の足を引っ張る可能性が高い。さらに世界的な分断政策により、海外マネーが中国から逃避する傾向もその懸念を強めている。
2022年を振り返り
2022年を振り返り、ロシアによるウクライナ侵攻とその後の各国の合従連衡、世界的物流網の混乱による供給制約と、世界各地の地政学的変動、新型コロナウィルスの変異と各国の封じ込め対応策の違い、食料・資源・エネルギーの高騰による世界各地でのインフレ・物価高騰、エネルギー価格の暴騰、急激な金利上昇、各国の財政赤字拡大・景気悪化、食料危機・エネルギー危機など、世界は歴史的にも例を見ないほどの急激な変化に直面した。まさに「VUCA」Volatility,Uncertainty,Comprexity,Ambiguity、「変動性、不確実性、複雑性、曖昧性」の一年であった。見通しはことごとく外れ、3か月先の将来を誰も予測できないのが現実だ。

