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「地球が燃えている」グリーン・ニューディールの提言

更新日:2022年5月2日

気候崩壊から地球と人類を救うグリーン・ニューディール

カナダ人の著名なジャーナリストで、気候正義に取り組む民間組織「ザ・リープ」の共同創設者でもあるナオミ・クラインは、2020年に「地球が燃えている」という著作の中で、気候変動への人類の対応が手遅れとなる危機感を、「地球が燃えている」と表現し、自身の発表した10年余りの論文の足跡をまとめている。

グリーン・ニューディールの目指すもの

1929年の世界大恐慌を克服すべく、1930年代のフランクリン・D・ルーズベルト大統領の手による、失業者対策を念頭にした広範な社会的インフラ整備の大規模な投資方針の決定と、包括的な政策の基本的方向性を、ほぼ政権発足100日間で形作ったそのスピード感をもったニューディール政策に倣い、今度は、社会の重要なエネルギー資源の脱炭素化・再生可能エネルギーへの産業全体の構造転換へ舵を切り、新たな産業を生み出し、新たな雇用を生み出す経済対策として、大胆な投資を迅速に実現することにより、環境問題の解決策と経済成長の二つの課題を同時に解決し、持続可能な社会をつくるための総合的な対策を、一気呵成に全面的に、推し進めるための「グリーン・ニューディール」を速やかに実行に移すよう、主要な西欧諸国はじめ各国政府に強く訴えている。

産業革命以降、大量の温暖化ガスの排出・蓄積によりもたらされた気候変動が、人類の多くの人々の生活に直接的な影響を及ぼし始め、環境を破壊し、農業を困難にし、多くの食糧を奪い、移民・難民を生み出した。新自由主義に基づく、飽くなき経済成長の追及は、貧富の格差拡大と相対的貧困層を増加させ、その影響は人類のみならず、地球環境を破壊し、食物連鎖の破壊により、多くの生物の種の多様性を危機に陥れ、地球の自律的な自然循環・復元力を上回る環境負荷を地球に及ぼし続け、その負の蓄積は限界に達しようとしている。

スウェーデンの若者、グレタ・トゥーンベリさんは、ただ一人で学校ストライキを起こし、「人類を未曾有の危機が襲っている、地球が燃えているのだから、とるものもとりあえず、今すぐその危機的な状況に対応すべく、全力で取り組むべき」と強く全世界に訴え、共感する多くの世界の若者に影響を与えている。著者は自らの知性をその著述と行動に変え、人類はすでに環境回復のための多くの時間を浪費し、残された時間は限られ、迅速で全面的な行動が切実に求められていると世界に警鐘を鳴らす、オピニオンリーダーであり実践行動家でもある。

目の前の惨事に対応するか、長期的な眼で人類の破滅を防ぐ行動をとるか

ウクライナ危機は、21世紀の人類の目の前で繰り広げられる、信じられない惨事であり、ロシアに代わる石油資源・天然ガスなどの確保は各国の経済成長にとって死活的な意味を持つ。地球温暖化による気候変動危機への対応はかなり後退し、後回しになる可能性が高い。温暖化対策は一時停止し、再生可能エネルギーとともに火力発電・原子力発電を再稼働・新規増設を視野に入れ、目の前の危機回避のためのエネルギー戦略の現実的な対応を迫ってくる。

ファスト&スロー

プリンストン大学名誉教授で、不確実な状況下における意思決定モデル「プロスペクト理論」などを経済学に統合した業績により、心理学者でノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン博士は、その代表的な著作「ファスト&スロー」で、直感的で経験則から導き出される「早い思考」と、知覚と記憶による知的活動により導き出される「遅い思考」との違いを心理学的に明らかにした。どちらが良い悪いでなく、その仕組みと働き・効果・影響を余すとこなく解明したのである。自分の意思決定によると信じたものが、実は一種のアルゴリズムに従い、外部からの刺激と経験則に自動的に反応し、意思決定の結論に導かれるさまを、あらゆる社会実験によって証明している。自分の意思はどこにあるのかと言いたくなるくらいである。
 「早い思考」は今までの経験則に基づき、目の前に出された課題に超現実的な解決策を選択させる。「遅い思考」は長期的な視野に立ち、理性的な判断を下す。地球温暖化阻止に向けた理性的な遅い思考の選択は、現下の過酷な現実を前に、政治的な要求にその思考を停止してしまうのだろうか。

若い世代が目覚め、燃えている

 環境汚染の悪化、地球温暖化による影響が死活的な意味合いを持つ、若者世代こそ、まさに自分の人生の将来像が、未来がかかっている。その危機を肌で感じ始めた若者世代が、世界的な規模で行動を起こし始めている。気候変動の悪影響はすべての人に及ぶが、若者と防御する術を持たない多くの低所得の国とその人々に、より多く、長く、直接的に降りかかる。

個人の行動様式と生活様式の変化

  • ・他者に支配され動かされる他律的な世界観から、自らの意思を過去の学習した知恵から判断する「遅い思考」による自律的な世界観へ
  • ・一度立ち止まる、今までのパターンを一度やめてみる
  • ・明日から一つ生活の行動様式を変える、明後日にまた一つ行動を変える
  • ・食生活をより健康的に変化させ、肉食を中心とした食物の過剰摂取から、野菜を多く摂取し、生活に運動を組み込み、習慣病による過大な医療費負担を削減し、自宅の省エネ化に投資し、自らエネルギー消費を削減し、無駄な廃棄物・廃棄食糧をださないエコ生活を心がける
  • ・インターネットとSNSから意識的に一定期間離れ、その影響から距離を置き、自ら思考する習慣を身に着ける、一定時間本を読む
  • ・男女の役割分担を見直す、家事の分担と子育てに積極的に参加する
  • ・多消費・効率最優先のストレスフルな社会生活から、スローな時間と生活の価値観を大切にする、働き方の見直し、生活の見直し、低消費型の生活への移行
  • ・働き方を変える、働く場所を変える、住環境を変える、職業を変える、そのために一定期間リスキリング(社会が求める技能を再教育・再習得)に積極的に取り組む

永続的で持続的な社会への転換

  • ・自然征服・支配型の西洋型から自然との調和・一体型の東洋型へ
  • ・個別最適主義、家族主義から他者との共存、全体調和を目指す寛容な社会への移行
  • ・都市と地方の在り方を考える、都市機能を再配置する、コンパクト社会をつくる
  • ・地域のエネルギーを再生可能エネルギーに置き換え、エネルギー主権を大企業から取り戻し、その利益を地域に還元する
  • ・短期の目標と目前の利害に大きく動かされる政治と経済の仕組みを変える
  • ・社会の分断と貧富の格差と、その根源である親の資産多寡による学歴の二極化を止める
  • ・相互扶助、社会的セーフティーネットの整備、地域の連帯への参加と住民運動の活性化
  • ・国家、人種、民族、宗教、ジェンダー、世代の壁を乗り越える努力を続ける

 すべてが難問で、ハードルは非常に高いといえる。個人レベルではいかんともし難い課題ばかりだ。しかし、人類が手に入れた第二のDNAである文字と智慧の蓄積が、依って立つ基礎として共有され、次世代に引き継がれ、希望の持てる社会が実現することを期待したい。

代表紹介

大村秋男
静岡大学卒。地域金融機関で長年営業畑、本部業務等を経験し、RCCにて債権管理回収・事業再生業務、不動産会社にて不動産業務全般を経験。
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認 不動産コンサルティングマスター
今まで様々な不動産及び経営相談業務等に携わり、その経験を生かし不動産コンサルタントとして独立
2018年9月会社設立、代表に就任し現在に至る

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