中古マンションの購入ポイント
自分の求める住環境、職場との距離、教育環境、生活利便性、広さ、築年数、地下鉄までの距離、最低戸数等の様々な要因の、物件ごとの比較検討、自分と家族のためのマンション探しは大変な労力を要する。働きながら、資料集め、比較検討、現地実査等、それに割く時間とエネルギーは決して軽くない。経済的耐用年数、管理組合の活動状況、共用部分の定期清掃と維持管理と修繕実施状況と毎月の管理費・修繕積立金との兼ね合い、坪単価等の物件価格のパフォーマンス、自己資金、返済資力、勤続年数、銀行融資、住宅ローン控除との兼ね合いなど、どこかで妥協して決断せざるを得ないのが実情である。しかし、その中で外していけないのは、流動性、すなわち売りたいときに時価で売れる物件かという換価性に尽きるであろう。
マンション購入条件、流動性の高いマンションとは?
マンション選びのポイント1:街を選ぶ、環境を買う
自分の置かれた条件に合った街と環境を選ぶことが、マンション購入後の満足度を左右する。人により選好する条件は異なるが、仕事中心か、安らぐ家庭を中心に考えるか、子供の教育環境を中心に考えるかである。多くの人が選ぶ街の条件は、共通する面が多い。
マンション選びのポイント2:管理を買う
将来に亘る長い期間を適切な費用で快適に過ごせるかどうかが、マンションの管理状況によって大いに異なる。管理組合、定期清掃、住民トラブルへの対応、セキュリティシステム、宅配専用ポストの設置、高速インターネット回線、入居者の年齢構成、貸部屋賃貸の割合等である。
マンション選びのポイント3:換価性・流動性のある資産を買う
現代社会で働く多くの人は人生において、二度から三度の転職と引越し、職種変更、仕事内容、勤務地異動、その都度必要とされる知識・経験・スキルは生涯40年以上に亘る就労期間において、10年サイクルとみても4-5回は変化するのは当たり前と見た方がよさそうである。その時、マンション売却が必要となった場合、2001年以降の新耐震建築で、60㎡前後、6階以上、マンション総戸数が最低でも30戸以上、適切なリフォーム工事の実施、地下鉄駅より5分以内等の条件を満たしていれば、再販可能となる可能性はかなり高い。地下鉄駅5分以内で、それなりの居住性を確保できていれば、かなり古くても、適正流通相場価格であれば購入需要は確実にある。
住宅ローンの膨張、金利上昇、インフレ対応策
日本の住宅ローン融資残高2022年6月末時点で、220兆円を超えた。現在はさらに残高が増加している。今年に入り、日銀の金融政策の一環で短期金利のマイナス金利が解消された影響と消費者物価が2年以上2%以上の上昇をみせており、その勢いは当分継続するような状況で、名目金利から消費者物価上昇率を控除した実質金利はマイナスの状況が続いている。今後の長短金利上昇を見据えた不動産、特に需要の高い都市部の中古マンションは、インフレ対応資産としても期待できる。今後も見込まれる建築価格の上昇、金利上昇、物価上昇に対応する効果的な生活防衛手段にもなるだろう。
人生設計、新NISAか戸建て住宅・マンション購入か
生涯賃貸派も増加しており、誰もがマイホームを購入したいと考えるわけではないが、就職・結婚・家族形成の基本インフラとなるマイホーム購入プランは、住宅ローン制度の整った現在、定職と一定年収があれば、銀行の住宅ローン獲得競争もあり、そのハードルは低くなっている。少子高齢化社会と自分の老後の備え、生涯に支払う住宅費の負担を考慮しても、住まいが確保されているのとそうでないのでは、老後生活のゆとりに大きな差が出る。物価上昇に負けないよう新NISAで老後の生活を念頭に、計画的に効率よく老後資金を形成するという重要な選択肢と同様、人生最大の買い物である住宅購入は、長期にわたり生活に大きな影響を及ぼす重要な投資の判断である。
子育て世代にマッチング
東京圏をはじめとする都市部にさらに人口集積が進むなかで、自治体の人口減少対策として先駆的な人口マーケティングと都市設計が功を奏し、駅近でまたは駅中に、子供の預け入れ施設が十分にあり、出勤時に子供を預け、帰宅時に買い物などして子供と一緒に帰ることができる利便施設が併設されている(千葉県の流山市など)。複合施設と多機能化した駅周辺の物件が人気であり、共働きの若い子育て世代、若者世代を引き付け、東京に通勤するサラリーマンにとっても利便性が高い東京近郊に顕著に人口流入・増加が続いている。
高齢化社会と大規模修繕・建て替えを巡る問題
高度経済成長期に建てられた築40年超のマンションの集中的な増加期を迎えると同時に、その住人の高齢化・相続等の問題がある。計画的修繕が実施できない積立金不足のマンションが増加している。マンションの客観的な評価制度も導入されている。居住者はさまざまであり、高齢化、賃貸化など、多くのマンションがその住機能を維持するのが困難な時代が目の前に迫っている。マンションの建て替え要件は法改正により、参加住民によるその発議条件の緩和が討議されつつあるが、住民の意思形成・取り纏めには数年の年月を要するのがざらである。現実的に建て替えの計画が立案できるのは、都市部の好立地にある、容積率に余裕のあるマンションで、住民の持ち出し負担が少ないマンションに限られる。高齢者世帯の大規模修繕の費用負担の困難さと、建て替え費用の高騰に阻まれ、雨漏り、外壁、給排水管設備の老朽化にかかる基本住機能の劣化と経済的耐用年数を超えたマンションの対応策は、年々その重みと切迫性を増している。住民と管理組合の力だけでは到底対応できない。住民と管理組合、民間マンション管理業者、建築施工会社、行政が早くから一体となって問題に取り組むしくみづくりと合理的な合意形成の迅速化、計画的な早期対処を促す政策的な税金・補助金などのインセンティブ付与の仕組みが必要である。少子高齢化社会の人口政策とともに、増加する空き家問題とマンションの老朽化問題、高齢化する社会全体の住宅ストックを維持するための大胆な発想の転換と、現実的で有効な施策が求められている。