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「どうしました?」
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世界の潮流

更新日:2022年9月19日

「オープンからクローズ、そして再びオープンへ」

急変する世界の潮流のなかで、BRICs、中南米、アジア・新興国を中心とした諸国は、独自の道を探り、様々な分野で一層の交流を強めている。新たなブロックができつつある。しかしその世界的なクローズの流れも既に折り返し地点に来ている。世界は以前の倍速のスピードで変化し、クローズに向かった世界は、誰もがメリットを享受できるオープンな世界に徐々に舵を切り、コロナとの戦いも次第に落ち着きを取り戻しつつある。しかし元の世界には戻ることはないだろう。

ロシアをめぐる各国の流れ

欧米は、ロシアに対し貿易代金のドル決済システムから締め出し、主たる財源であるエネルギー資源の販路を封じるという前例のない経済制裁を発動した。早晩現在の侵攻を維持する財源が枯渇すると見受けられた。しかし戦略的に必須の電子製品・部備品を中国からの輸入に頼り、石油・ガスなどのエネルギー資源の販売先を中国、インド、新興国に見出している。そしてこのウクライナ危機をきっかけに、欧米主導のドル経済圏から少しずつ距離をとる、ロシア・中国・インド・南米・新興国を中心とした国々は、ドルに依存しない独自の貿易決済網の構築を図っており、主に元を中心とした貿易量を徐々に増加させている。このことは、様々な思惑を持つ国々が、同床異夢又は呉越同舟状態のなかで、一定のメリットを見出していることを物語る。欧米から距離を置いた先述のいわゆるBRICs諸国等の動きは、世界の潮流変化の節目を物語っている。

世界の各国の流れ

大きく見れば、この3年の間に、世界を襲った新型コロナのパンデミックと、ウクライナ危機、そして物流の大混乱、資源・食料の高騰に端を発したインフレ、金利上昇はオープンな世界を、閉じた世界へと一斉に舵を切らせた。
 ヨーロッパのエネルギー確保に対する不確実性は高まり、厳しい冬を前に国民生活においてインパクトの高い水道光熱費はかつてなく高騰している。ドイツでは気候変動の影響で河川の水量が下がり、国内の物流に大きな支障がでたり、フランスの農業生産では、ウクライナ・ロシア産の化学肥料や農業作物の種子・苗が入手が困難になり、来年の農業生産に影響を与えており、頼みの原子力発電の思わぬ老朽化・故障により計画的な電気の確保にも不安を抱えている。

中国国内は、以前の日本の不動産バブルを上回る規模での不動産バブル崩壊が進行しており、中国の庶民の資産に占める割合の半分以上は不動産投資であり、不動産開発中断、住宅ローンの低調とともに増加する不良債権で金融システム全体に負荷がかかっており、徹底的なコロナの封じ込め策とともに中国経済の成長を鈍化させ、世界経済の行く末にも大きな影響を与えている。

新興国は米国の金利引き上げの影響を受け、投資資金の米国への還流に伴い、資金の流出に伴い、通貨安、輸入物価の高騰に苦しんでおり、対抗して金利を引き上げざるを得なくなっている。

世界で唯一、低金利政策を続ける日本は、140円台にまで円安が進み、ドル換算でみた名目GDPは560兆円と4位のドイツと肩を並べるようになり、3年近く新型コロナ対策費を思い切って支出した結果、国の国債をはじめとする累積債務は1250兆円を超えた。但し、日本国内に限ってみれば、エネルギー価格の高騰、部品供給の停滞による工業生産の低迷、サービス・飲食業界の低迷が続き、今後倒産件数の増加、金融引き締めによる不良債権の増加が見込まれるものの、総じて大企業中心の、輸出企業の業績は回復基調で堅調である。

インフレ抑制策のもたらす結果

世界は、当面する物価・エネルギー価格・人件費の高騰による過熱気味のインフレに苦しんでいる。ある程度の景気の抑制を覚悟したアメリカとEUは、政策金利の0.75ポイントという通常の3倍での金利引き上げが想定されている。と同時に金融の量的緩和策から引き締めへと転じ、一時的救済策で生き延びた多くの企業の苦境を招き、不良債権の増大が懸念されている。金利引き上げにより、消費支出の大きな比重を占める住宅投資は低迷し、住宅ローンは抑制され、金融全体の引き締め観測が予想されている。景気減速予測の前に世界は株安、債券安、不動産安を抱え、有力な投資対象を見い出せずにいる。

しかし、コロナ禍を脱しつつある世界の人的交流復活の兆候は顕著であり、ウクライナをめぐる紛争解決の糸口を両国が一日も早く見出だすことを願うばかりだが、世界の観光をはじめとする宿泊・航空業界の業績はすでに回復をみせつつあり、そうなれば、世界の人流は劇的に回復し、段階的な水際対策の緩和の実施・大幅な円安もあり、日本の国内の需要不足を補い、景気浮揚に大きく貢献するインバウンド事業の復活の日も近いだろう。日本も遅ればせながら、DXと賃金引上げ、人的資本への再投資に舵を切っており、徐々に着実にその効果は現れるだろう。自由で開かれた世界が再び来ることを、地球上の誰もが待ち望んでいる。コロナ禍・ウクライナ紛争・インフレで一時的にクローズの潮流に傾いた世界の動きははすでに峠を越えつつあり、世界の行き過ぎた振り子は行く先をオープンの流れに戻すよう舵を切るだろう。

代表紹介

大村秋男
静岡大学卒。地域金融機関で長年営業畑、本部業務等を経験し、RCCにて債権管理回収・事業再生業務、不動産会社にて不動産業務全般を経験。
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認 不動産コンサルティングマスター
今まで様々な不動産及び経営相談業務等に携わり、その経験を生かし不動産コンサルタントとして独立
2018年9月会社設立、代表に就任し現在に至る

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