身には老少有れども、而も心には老少無し
気には老少有れども、而も理には老少無し
人の生物学的な年齢と心・気概・理知の年齢とは別の物であり、老齢を以て自らの不甲斐なさの言い訳をする自分自身への、厳しい戒めである。
心を若く保つには
「人生100年時代」と言われ、様々な高齢者向けの書物が出版されている。特に老後の生活防衛術から、資産の運用管理術、相続・事業承継問題、断捨離、終活準備の心構え等など、まさに専守防衛路線である。
その中で、年代別に人生の処世術、心の持ち方を問う本は比較的多いが、ここに来て、新たに学び直す、新たな人間関係を構築する、新たに事業を始める、起業することを促す本も増えてきている。しかし、まさに自分の心が若くないと中々前には進めないのである。
過去に捕らわれず(一番難しい)、新たに勉強を始める(時間だけはある)、既存の身近な人との人間関係の再構築(しんどい)を進めるには、先ず健康であること(誰しも大きな課題)、仕事時間と収入のバランスがとれていること(理想)、自分が自由にできる時間が一定時間持てること(趣味、眠りたい)、ある程度のコミュニケーションツール(パソコン、スマホ、タブレットなど)を操作できること(毎月の費用もばかにならない、老眼)等、そのハードルは非常に高い。しかし、チャレンジする人は確かに増えている。一歩ずつチャレンジすれば、次第に要領が掴めて、新たな発見もある。そして少しずつ自信が出来てくる。何もチャレンジしていなかった頃の自分を思い出し、少しは進歩して気持ちも変わり、あらためて自分の心(既成概念)が自分自身を縛っていたことに気づく。自分自身を第三者的に客観的に見る余裕も生まれる。
幸せになるために必要な4つの要素
戦後、一人当たりGDPやモノは身の回りに増えたが、生活満足度は横ばいである。お金やモノ、地位による幸せは、長続きしない。
慶応義塾大学の前野隆司教授の幸せに関する科学的な研究によれば、幸せになる為には次の4つが欠かせないという。
- <自己実現と成長> やってみよう!
- <独立とマイペース> あなたらしく!
- <前向きと楽観> なんとかなる!
- <つながりと感謝> ありがとう!
人生修行の折り返し地点を過ぎた年配者には、「無精をしない」「無理をしない」「無駄な時間をすごさない」も心掛けたい。
若い頃の、生活のための様々な束縛から解放され、自分の時間を確保できるのが、年配者の最大の特権であり、人生の醍醐味である。老後、余生と残り物のように片付けてしまうには余りに惜しい。その気になれば、新しい人生を送ることが出来るほどの、十分な時間が残されている。